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みんなの広場

□「2006年賃上げ妥結」について考える

                                       榊 飛雄馬

数年ぶりのベースアップの賃上げ要求が焦点となった06春闘。3月14日、経営協議会で会社から回答が出された。「2500円の要求に1000円の回答、しかも全組合員一律の昇給ではなく能力役割給評価昇給の原資に配分するなんて、私には回ってこないわ。」(40代女性)。「定昇もなく、去年移行給がなくなり、今年から調整給まで減らされる俺たちには賃上げは無縁の言葉になった。」(50代男性)

組合は会社の回答水準が他産業や薬業大手他社と比べても高水準であり、交渉姿勢を評価して3月16日妥結しました。

組合支部の中には「2500円の要求は全組合員一律に配分してほしい」と支部としての要望を出したところもあったと聞きます。この意見が組合員が望んでいたことだったと思います。2500円が交渉の結果1000円になったのは非常に残念であるし、「昇給においても成果に応じた対価――能力役割評価に応じて配分することが、従業員のやりがい・働きがい、ひいてはシオノギの競争力の向上につながる」との会社の主張は「本当にそうですか」と言いたい。成果主義になって営業の人たちはやりがい、働きがいを持ち、売り上げが増えているのですか?研究の人たちは新薬を次から次へと開発しているのですか?製造の人たちは苦情・品質トラブルがなくなったのですか?決して良くなってはいないのではないですか。

かえって悪くなったと思います。目標を100%達成しても普通、110%、120%達成しないと良い評価は与えないとする上司。成果とは?目標とは?評価とは?いろんなことに?がつきます。

アメリカの成果主義は管理職だけに適用していると聞きます。また、先に成果主義を導入した企業は、評価で悩んでいます。一向に業績が伸びず品質問題・個人評価問題でトラブルを起こしたことで、成果主義賃金と年功序列型賃金を組み合わせたり、または年功序列型賃金に戻しているところなど見直しが増えています。成果主義賃金は「従業員のやりがい・働きがい、ひいてはシオノギの競争力の向上」とは反対に「従業員の将来に不安」を持たせ、「いきがい、働きがいをなくす」もので、シオノギの競争力を落とす」ものでしかありません。

1000円と少ない金額ではなく、利益に見合った5000円以上のベースアップを全労働者に一律に分配してこそ、「やりがい、働きがい」が望めるものであり、みんなの要望であると思います。経営陣と労働組合執行部の再考を強く願うものです。

成果主義賃金QA ここが知りたい特集/成果主義賃金Q&A

成果主義賃金関連の本
『内側から見た富士通「成果主義」の崩壊』(光文社 城 繁幸著)
『虚妄の成果主義』(日経BP社 高橋 伸夫著)
『<育てる経営>の戦略 ポスト成果主義への道』
(講談社 高橋 伸夫著)

『終身雇用と年功賃金の転換』(ミネルヴァ書房 小越 洋之助)
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