千 ちひろ
シオノギを辞めた後、新聞広告で見つけたパート先の会社に勤めてまず驚いたのが、次長も課長も休暇をよく取ること。6ヶ月過ぎて直属長から10日間の有給休暇シートを渡された時にも「休暇には期限あるから残さないよう早めに休みなさいよ」と言われたこと。
そしてなにより組合員の賃金一覧表(60歳まで1歳きざみの年功序列の賃金表)が職場に張り出されているのに気付いた時。そして社員のMさん(55歳女性)が「私は病気で1年以上休んだから、この通りの金額。普通の人はもっと多い。これは最低賃金やもん。」と言った時、『なんかここの会社はシオノギとちょっと違うぞ』と言う感触を持ちました。
ちなみに張り出されている金額はシオノギの基幹職の賃金とほぼ同額でした。新人教育の時には総務課長が「うちの会社は中小企業にしては給料が良いし、厚生年金基金も本人3割会社7割です。」と、ちょっと自慢げに説明してはりました。
「労働条件が良いのも、給料がよいのも組合が強いからよ」と普段の話し振りでは組合とは程遠い感じのMさんに教えてもらいました。そのMさんから「メーデーには毎年扇町公園に参加している、組合員はだいたい皆行く。当たり前でしょう。」と言われた。
そういえば、女子ロッカー隣の組合事務所の前や廊下には、でかでかとポスターが貼ってあります。「イラク派兵反対!」「医療制度の改悪反対!」「消費税増税反対!」「憲法改悪反対!」等など。鉢巻している人がウロウロしているわけでもないけど、主張する組合の姿勢を感じました。でも組合の委員長は、通勤途上で「おはようさん!」と気軽に声かけてくれる、人のよいおじさんです。
職場の人同士、軽口を叩きあう仲良しで、居心地の良いこの会社でも、パートの給料は正社員の半分に全然満たない額です。(パートの賃金としたら良い方らしく、ボーナスも夏冬とも1ヶ月分出る)それでもパートは日給制。会社からの休みも祝日も無給、公暇も産休も育休もない。楽しみのゴールデンウイークや盆休み、正月休みも給料が減る。
ここでは20代後半から30代の女性がパートで働いています。大半が短大や大卒です。高学歴の若い人もパートを選ばざるを得ない現状を目の当たりにしました。
時間の短いパートを選んだ理由はそれぞれですが、やっぱり給料が少ないとこぼしています。同期パートの若いKさんは「短大卒業してからずーと派遣の仕事をしてきたけど、少し前から3ヶ月の契約更新になった。派遣の方が時給はいいけど、3ヶ月毎にはらはらするのは本当に辛くて、パートでもいいと思いここへ来た。」と打ち明けてくれた。
パートの時給はパート規約で出勤率に応じ定昇額(3円、10円、15円)が決められていてその通りupされます。パートから準社員、正社員への道も開かれていますが、狭き門で、準社員はいるけど、正社員になった人はまだいないとのことです。
「この会社はまだまし、なんて言ってないで正社員への道広げてもらおう」と、Kさんに言いました。苦笑いしていたけど、残業もしているのに、辛抱するところ間違っているで。同じ仕事していること理解してもらおうね、そして「社員さん」って呼び方も止めようね。
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