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「限定正社員」は“解雇しやすく低賃金”

                                   一しんぶん赤旗読者

 5月に続いての投稿です。
 前回の話は、安倍首相が議長を努める政府の産業競争力会議で「解雇の自由化」を認める法律を考えているという内容でした。その後の動きですが、今度は政府の規制改革会議が「答申」をまとめ、6月5日、安倍首相に提出しました。

 このうち、「雇用」分野では、「正社員改革」として「限定正社員」の雇用ルールの整備が盛り込まれており、2013年度から検討を開始し、2014年度中に具体化をはかるとしています。

 「限定正社員」とは何か。
 「しんぶん赤旗」に掲載された記事からみてみましょう。

<雇用全体が不安定化する>

 「限定正社員」(ジョブ型社員)は、勤務地や業務内容、労働時間(残業)などを限定した雇用契約を使用者と結んで働くものです。雇用契約が無期限なので「正社員」として扱われ、パートや契約社員などのように契約期間が有期でないため安定して働けるように見えます。
 しかし企業の都合で勤務先の工場や店舗の閉鎖、業務が廃止されれば、簡単に「首切り」されてしまいます。
 厚生労働省の通達では、「限定正社員」の解雇は、一般の正社員と「同列に扱われることにならない」としています。つまり正社員にある解雇制限ルールが、「限定正社員」にはそのまま適用されないというのです。

 日本経団連もこの“適用されない”ということを「明確に法的整備すべき」と主張。
 規制改革会議「雇用ワーキンググループ」も、就業規則に解雇自由を盛り込むことで、解雇をしやすくすることを検討してきました。
 現在、正社員で働く労働者も「限定正社員」にされる恐れが強く、日本の雇用全体の不安定化にもつながります。


<人件費大幅削減を図るもの>

 「限定正社員」は、いわゆる“無限定”正社員に比べて、賃金が安いことが当然とされます。
 たとえば、労働契約法が改正されて、非正規雇用労働者が5年を超えて働いたら無期限雇用に転換する制度が作られましたが、労働条件は非正規雇用の時と同じでいいとされています。そして日本経団連は、この無期限雇用を「限定型」の雇用として、形は正社員でも賃金を低くおさえようとしています。

 財界のねらいは、いま大企業が抱えている正社員を「限定正社員」にして、コストを大幅に削減することです。

<経済成長をはばみ、景気の悪化に拍車>

 「限定正社員」を増やして経済は本当に成長するのでしょうか。
 「限定正社員」による雇用拡大は、低い賃金や劣悪な待遇、不安定な雇用を増やすだけです。
 日本では、1997年をピークに1人あたりの賃金が減り、「デフレ不況」の原因となっています。賃金低下の原因となったのが、正社員の賃金低下と、ワーキングプアとよばれる非正規雇用労働者の増加です。非正規雇用は1995年の1000万人から、現在の1800万人を超え、全雇用労働者の4割に迫ろうとしています。

これは1999年労働者派遣「原則自由化」や、2004年の製造業解禁をはじめ、歴代自民党政権による「雇用破壊」によってもたらされたものです。その結果、小泉内閣、第一次安倍内閣の下で「好況期」とされた2002年〜2007年も国民所得は減少しました。

 「限定正社員」の導入では経済成長を促がすどころか、景気低迷にいっそう拍車をかけるだけです。
 このように問題だらけの「限定正社員」制度ですが、シオノギで働くみなさんはどのように思われますか。
 労働条件が深刻になってきている正社員の実態を放置、悪化させ、「それが無理なら(いやなら)限定正社員に」ということでは、すべての労働者の賃金・労働条件はさらに悪くなるばかりです。

 いま必要なことは、この前の投稿記事にも書きましたが、長時間労働の是正やサー ビス残業の根絶、均等待遇の実現、最低賃金の引き上げなど、だれもが安心して働き続けることができるように、「働くルール」を確立することだと考えるのですが・・。


 



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