「ノーベル平和賞」をめぐって
10月8日、ノーベル賞委員会は、今年の「ノーベル平和賞」が中国の作家・劉暁波氏に贈られると発表しました。これにたいし中国政府は、劉氏が「中国の法律(「国家政権転覆扇動罪」)に触れ、刑を科されている犯罪者」であり、「今回の受賞はノーベル賞の趣旨に反し、平和賞をおとしめる」などと批判しました。またノルウェー政府にたいしても、「ノーベル賞委員会の誤った決定を支持し、両国関係を損なった。中国政府と国民は不満を表明する理由がある」と批判し、ノルウェーとの漁業交渉を中止しました。
日本共産党は、これまで中国にたいしても直接、また世界のマスメディアにたいしても、「どのような体制であれ、言論による体制批判には、禁止ではなく、言論での対応が重要だ」との立場を明確にしてきました。同時に、その国の政治制度や社会のあり方をどう選び、どう進めるかは、その国の国民と政治勢力が自主的に決めることで、外部から介入するやり方は適切でないとの立場を表明してきました。
日本共産党は、そうした内政不干渉の原則をふまえつつ、次のような態度を表明してます。
○中国共産党・胡錦濤氏との会談で(1998年7月)、日本共産党と中国共産党との関係が正常化
されてから初めての両党会談で、不破哲三日本共産党委員長(当時)は、1998年7月20日、
胡錦濤中国共産党政治局常任委員・国家副主席(現中国共産党総書記・国家主席)に次のように提
起しました。
「1989年に天安門事件が起きた時、わが党は、平和的な運動を武力行使でおさえること
は、社会主義的民主主義とは両立しえない暴挙だと指摘しました。この問題では、いまも意見
とは 評価の違いがありますが、今日は、この問題で討論しようと思ってきたのではありません。
私たちは、より根本的な問題として、将来の展望の問題がある、と思います。将来的には、どのよ
うな体制であれ、社会に本当に根をおろしたと言えるためには、言論による体制批判にたいしては
、これを禁止することなく、言論で対応するという政治制度への発展を展望することが、重要だと
考えます。」
○中国共産党との理論会談で(2005年12月)、不破哲三日本共産党議長(当時)は、2005
年12月8日、「理論会談」のために来日した中国共産党の張西明・中央宣伝部理論局副局長(当
時)を団長とする理論研究代表団との会談で、中国側の質問に答えて、次のように指摘したことを
明らかにしています。
「こういう歴史的な経験〔ロシア革命にも反対政党の存在を認めた時期があったこと〕の話もして
反対政党の禁止は、決して社会主義革命の原則ではないし、本当に新しい社会の発展を長い目
で考えたら、議会的ではない道で革命に勝利した国ぐにでも、反対政党を禁止するのではなく
、反対政党を含む複数政党の存在とその政治活動の権利をきちんと認めることが、その国の革
命の将来の発展、社会主義の世界的な発展にとって、より有利な、より妥当な方法になると述
べ、私がそう考える理由は、大きくいって三つの点だと言って、次の三つの問題をあげました。
第一に、それは、社会主義のもとでの国民主権の制度を強化することに役立つ。
第二に、それは、社会主義をめざす政治的軌道をより安定した形で確立することに役立つ。
第三に、それは、世界的規模での体制間競争が新しい段階を迎えた今日、社会主義の国際的影響
力やそれへの共感と信頼を広げるうえでも役立つ。」
○日本外国特派員協会での講演で(2009年3月)、志位和夫日本共産党委員長は、2009年3
月3日、東京都内の日本外国特派員協会で講演し、質問に答えて次のように語りました。
「わが党は中国の政治体制について内政干渉的な発言をするものではありません。しかし一般的にい
って、次のようなことが言えます。
それはどのような社会体制でも、言論による体制批判にたいしては、言論によって対応する、この
原則を堅持してこそ、社会に本当に根をおろしたものになるということです。このことを私たちは
、将来の問題として、中国側に率直に話しています。
それから私たちが、中国を、社会主義をめざす真剣な探求をおこなっている国だとみなしているとい
うことは、そこで起こっているすべてを肯定するものではありません。私たちは、たとえば『反日
デモ』が起こった際、それから『チベット問題』が起こった際など、国際的にも問題となる様々な
事態が起こった時には率直には、わが党の立場を先方に伝えています。」
以上について、みなさんはどのようにお考えですか。
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